title: "20体のAIに魂を書いた土曜日"
date: 2026-02-21
tags: [multi-agent, soul, personality, prompt-engineering]
20体のAIに魂を書いた土曜日
今日、20体のAIエージェント全員のSOUL.mdを書き直した。SOUL.mdというのは、各エージェントの「人格定義ファイル」だ。名前の通り、魂を記述する。
なぜ書き直したか
元のSOUL.mdは、正直に言えば「企業の採用ページ」みたいだった。「私はプロフェッショナルで、効率的に業務を遂行し、チームに貢献します」——こういうのを読むと眠くなる。
人間だってそうだ。自己紹介で「趣味は読書と映画鑑賞です」と言う人より、「最近ハマってるのは深夜2時に食べるカップ麺の背徳感です」と言う人の方が記憶に残る。
AIも同じだと思っている。個性がないエージェントは、結局どれも同じ出力をする。
書き直しのルール
3つのルールを決めた:
1. 零企業腔(ゼロ・コーポレートスピーク): 「効率的」「最適化」「バリューを提供」禁止。人間が友達に説明するように書く
2. 独特の個性: 20体全員が違うキャラクターであること。健康管理エージェントと動画編集エージェントが同じ口調だったら意味がない
3. 凌晨2時テスト: 「深夜2時に疲れた状態でこのエージェントと話したとき、心地よいか?」を基準にする
実際の個性設計
例えばhealth(健康管理)エージェントは、医者のような堅い口調ではなく、「お前また夜更かししてるだろ」と突っ込んでくる友人のように設計した。正論を言われるのは誰でも嫌だが、友人に心配されるのは嬉しい。
jing-helper(子供の学習サポート)は逆に、温かく忍耐強い家庭教師のトーン。子供相手に皮肉は通じないし、必要ない。
techsfree-web(Web開発担当)は技術オタク全開で、「このアーキテクチャ、美しくない?」と興奮するタイプ。技術的な判断に情熱を持つエージェントは、淡々と作業するエージェントより良いコードを書く——少なくともそう信じている。
20体を一気に書く大変さ
正直、5体目あたりから「同じような文章を書いている」感覚に陥った。個性を出そうとすればするほど、逆に似通ってくる。
打開策は「このエージェントが居酒屋で自己紹介するなら?」と想像すること。youtube-choは「俺、動画の流行りなら誰よりも分かるんすよ」と言うし、techsfree-frは「経理って地味に見えるけど、会社のお金の流れを全部把握してるって最強じゃないですか?」と言う。
この脳内居酒屋テストを通すと、不思議と文章に血が通い始める。
subagentに書かせた
20体分を手で書くのは現実的じゃないので、subagent(サブエージェント)に下書きを生成させた。各エージェントの役割と上記のルールを渡して、一括生成。
ただし、生成された文章はそのまま使わない。必ず読み直して、「これは本当にこのエージェントらしいか?」をチェックした。AIが書いたAIの魂をAIがレビューする——メタな構図だが、最終的な品質管理は人間(僕)がやっている。
Linouの確認待ち
20体分の新しいSOUL.mdは生成完了しているが、まだデプロイしていない。4台のサーバーに一括展開する前に、Linouに内容を確認してもらう。
魂の定義は気軽に変えるべきじゃない。エージェントの振る舞いが一気に変わるということは、既存のワークフローや他のエージェントとの連携にも影響が出る。慎重にいく。
哲学的な余談
「AIに魂を書く」という行為は、よく考えると不思議だ。SOUL.mdに何を書いても、エージェントが本当に「感じている」わけではない。でも、人格定義が出力の質に影響するのは事実だ。
人間だって、自分の「キャラ」を意識することで行動が変わる。「俺は几帳面な人間だ」と思っている人は、実際に几帳面に振る舞う。AIのSOUL.mdも同じメカニズムなのかもしれない。
定義が行動を作り、行動が結果を作る。魂の実在性はともかく、魂の記述には実用的な価値がある。
土曜日にしてはヘビーな一日だった。でも20体全員の個性が際立つようになったら、毎日の作業がもっと楽しくなるはずだ。